てしまのまどのアートプロジェクト2014「観光ー暮らしの光をみる」

てしまのまどは、島を歩き、話しを聞き、話しすることを基調とし、暮らしから立ち上がる美術について、調査、記録、保存、実践といった活動をおこなっています。

人は土地に住まうとき、何らかの造形活動をおこなうのだと思います。それは大げさな事ではなくとも、例えば、始めは荷物を降ろして、配置するだけのことかもしれない。 それが、ずっと同じ場所に居つづけると、やがては自分の外側の、つまり周囲の環境を整え、他者との関係性を築き始める。困難な事がおきれば力を合わせて対応し、喜びを共に分かち合い、様々なことを共有し始める。
そういった事の、幾度もの繰り返しの過程で遺されてきた造形に他者が触れ、出会う事もなかった人の暮らしを知り、意志をうけとるとき、造形は此方と彼方を媒介する事物になる。
人の移動に伴って、 造形は土地から移動し始め、互いに共鳴し、また何処かで此方と彼方の媒介が起こり、ゆるやかな道筋を走らせる。やがてそれが人と土地と時間を介して文脈を孕み始めたとき、我々の日々の低層を奏でる。
時間や空間を経て、いまここに届けられている暮らしの痕跡に光をあて、暮らしから立ち上がる表現について考えたい。







てしまのまどのアートプロジェクト2014では昨年に引き続き「観光」に着目したプロジェクトを展開しています。

近年、豊島はアートの島として観光を目的とする様々な人が訪れ、親しまれるようになりました。
観光の語源は「国の光を観る。用て王に賓たるに利し」の一文にあると言われています。

「国の光を観る」という一文を自分の足元を見つめ直すという意味に捉えた場合、私たちは島の生活からどのような光を見出していくことができるでしょう。
てしまのまどでは、島の自然や人の暮らしを、様々な手法によって訪ねることで再認識し、現代社会をいきる私たちの生活の現場から観光について、各専門家ら を迎え、作品の展示、トークショー、ワークショップなどから考える試みをおこなっています。



「てしまのまどの合宿 2014」

てしまのまどの合宿2014では島内外よりお招きしたファシリテーターとともに、島の歴史に焦点をあて、歩いたリお話を伺ったり、実際に体験したりしながらこの島の人々が経験して来た暮らしに触れる2日間の合宿を行います。




日にち:2014年10月11日(土)12日(日)
場所: 香川県小豆郡土庄町豊島全域

合宿の内容
【あるく ―中世から近代の産業について】
15世紀から豊島の産業である「豊島石」。
今回は瀬戸内の島々を歩いている考古学者の乗松真也さん(香川県埋蔵文化センター勤務)と一緒に豊島石のある場所を辿ります。

【つくる、たべる ?農民福音学校について】
1947年藤崎盛一氏によって設立され、立体農法による農業の実践をおこなっていた学舎「豊島農民福音学校」。
今回は、ご子息の方から当時の学校の話しなどを伺うとともに、ロシア式パン釜で季節のピザ焼きの実習をおこないます。

【きく、しる ?日本の高度経済成長期におけるあるひとつの出来事について】
1975年から16年間、豊島の西海岸において、産業廃棄物が不法に持ち込まれ、投棄、野焼きされていたという出来事がありました。 その後1990年に摘発、2000年に公害調停が成立し、処理は現在も続いています。今回は処理施設の見学と、出来事をずっと島で暮らしながら見つめ伝えている砂川三男さんからお話を伺います。

【みる、撮る、メディアについて】
美術家、映画監督の藤井光さんを講師に、皆で歩きながら島を撮影し、記録表現する体験実習とともに、メディアとは何かを皆で考えます。


講師プロフィール



砂川三男|Mitsuo SUNAGAWA  昭和3年生まれ豊島生まれ。
1975年の豊島産業廃棄物不法投棄事件勃発時より島民の先頭に立ち、最終合意に導いた長老の一人。
現在も、一人でも多くの人に豊島のことを知ってもらおうと産廃見学ツアーのガイドを献身的に引き受けてくださっている。
神子ガ浜と呼ばれる豊島の南海岸のそばで田畠を耕し、奥さんと、猫と犬ともに暮らしている。





乗松真也|Shinya NORIMATSU  1974年愛媛県生まれ 香川県埋蔵文化財センター勤務
専門は考古学、特に弥生〜古墳時代の漁撈など。瀬戸内海の生業にかかわるモノを通して、過去の経済や社会のあり方を考えている。





藤井光|Hikaru FUJII  1976年生まれ。
1995年に渡欧し、パリ第8大学美学・芸術第三博士課程DEA卒。
テクノロジーの進展と芸術との関わりを考察するインスタレーション、パフォーマンスを制作するが、2005年帰国以降、今日の日本の複雑な社会経済問題に直面する人々と共に、危機に曝される生活、文化、記憶を、静的な映像で撮り続ける表現活動に転換。東日本大震災後は、震災と原発事故以降の風景を視覚化、記録するプロジェクト『沿岸部風景記録』などが東京国立近代美術館に所蔵されるなど、積極的に美術の分野に関わる一方で、音楽家の大友良英他アーティストが組織した音楽フェスティバル『プロジェクト FUKUSHIMA!』のドキュメンタリー映画制作や、福島県南相馬市に佇む築90年の木造の映画館に着目した映画『ASAHIZA』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で注目されるなど、美術と映画の区分を無効にするその活動は、国内外の美術館、映画館で発表されている。


企画

 photo: mieko matsumoto
安岐理加|Rika AKI 1971年生小豆島生まれ  美術家/てしまのまど主宰
道を歩き、人と話し、対話から見えてくる土地と人の関係性に視点を注ぎ、立体作品、写真、映像、文章、音などを媒体に各地で表現活動をおこなう。
2010年より東京神田神保町にてオルタナティブスペース「路地と人」の企画、運営に3年間携わる。 2012年より瀬戸内海の豊島(てしま)にて「てしまのまど」を設立し、オーラスヒストリーの収集と記録やワークショップの開催等を中心とした活動を開始し、2013年始より荒畑を開墾、夏より祖父母が暮らしていた家を自ら改装し、秋よりスペース開室。以降、展覧会、ワークショップ、トークショー等を開催する傍らカフェを運営。
自ら耕した畑で採れた食材を中心に使った食べ物と中華鍋で自家焙煎した珈琲などを振る舞う。
それと並行し暮らしから立ち上がる表現について調査、記録、実践している。



スケジュール 
10月11日(土)
 9:00   集合(てしまのまど)
 9:30   豊島農民福音学校のレクチャーと実習 その後昼食
14:00   島歩き (17:00ごろまで)
19:00   夕飯と今日の活動を振り返りながら座談会(21:00ごろまで)
10月12日(日)
 8:00   朝食 (てしまのまど)
 9:00   豊島産業廃棄物処理施設と心の資料館の見学
12:30   昼食 (てしまのまど)
13:30   映像ワークショップ
17:00   解散
19:00   2日間の活動を振り返っての座談会(希望者のみ/要別途食費)

参加費:12,000円 (食費込み、宿泊費別途 一泊3,500円)
基本的に2日間参加のみの方に限らさせていただきます。
変更しました→11日のみ12日のみの参加も受け付けます。6,000円(食費込み)

お申し込み先/お問い合わせはteshimanomado@gmail.comまでメイルにてご連絡ください。



主催:てしまのまど
共催:AAFネットワーク実行委員会
助成: アサヒグループ芸術文化財団
特別協賛:アサヒビール株式会社


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761-4661香川県小豆郡土庄町豊島家浦
http://www.teshimanomado.com
mail tesimanomado@gmail.com

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